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【季節の薬膳】夏の養生~「心(しん)」を整え、涼をまとう一日のはじまり

二十四節気の「立夏(りっか)」とは、夏の始まりを示す暦です。今年、2025年は5月5日が「立夏」となります。立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑までの6つの節気があります。


古代中国の医学書『黄帝内経』の「素問」には、「夏の養生」について、こんな言葉があります📖


※夏とは立夏(5月5日頃)から立秋(8月6日頃)までの3か月のこと



「夏三月、此謂蕃秀。天地氣交、万物華実。」

夏の三か月は、天地の気が盛んに交わり合い、万物がどんどん成長し、花咲き、実を結ぶ季節である。

夏は陽の気が一年で最も盛んな季節です🌞自然界に陽の気が満ちあふれ、夏至に向かってどんどんとお日様が出る時間帯が長くなっていきます🌿


私たちの体もまた、花が開くように、内にあるものを外へと放つように働きます。活動的になり、のびやかに汗をかき、余分な熱をうまく外へ発散していくことが大切です✨


もし、こうした自然の流れに逆らって生活していると、陽気が盛んになりすぎ、体に熱がこもったり(体内に熱邪が発生)、気が上へ上へとのぼってしまい「心(しん)」に負担がかかってしまいます💦


夏は五臓の中で「心」がもっとも活発に働く季節とされます。

「心」は中医学で精神活動を司るとされ、不安やイライラ、不眠などの不調は、心の乱れと深く関係しています。


夏の過ごし方を誤ると、秋以降の体調不良につながることも少なくありません。


だからこそ夏は、「心を穏やかに保ち、陽気をうまく外へ発散させて、涼やかに過ごす」ことが、秋冬を健やかに迎える養生のカギとなるんです🌞




夏のおすすめルーティン

1.早起きをして、涼しいうちに目覚める

夏は少しは夜更かししても良いが、朝は早起きを」と『黄帝内経』にもあります。

朝の涼しさを味方にして、清々しく一日を始めましょう。

寝苦しい夜が続く時は、夕方に軽く汗をかく習慣を取り入れるのも◎。





2.朝の深呼吸と冷房の代わりに“静かな空気”を

冷房や扇風機の風よりも、朝の自然な空気を体に取り込む意識で、ゆったりとした深呼吸を数回。

心拍を落ち着け、気を整える時間を大切に。





3.窓を開けて、朝日と風を感じる

朝のやさしい光とそよ風は、体内のリズムを整える天然の薬💡

カーテンを開けて自然と繋がる時間をつくりましょう。

気分もすっきり、気持ちよく1日がスタートします。






4.水分と一緒に「心を潤す」

寝汗や暑さで失われがちな水分を、朝の一杯の白湯や冷たすぎない麦茶でやさしく補って


冷たい飲み物をがぶがぶ飲むのではなく、体の中をやさしく潤すような意識で。

「冬病夏治」※の観点から冷やしすぎは禁物です。


「冬病夏治」:冷え性や冬に起きやすい病気を夏のうちに治療し、予防につなげるという考え方です。一年で最も暑いこの時期に、体内にこもった寒気を追い出すことで、冷えによる陽気不足の体質を改善することができると言われています。


暑い季節は水分補給がとても大切ですが、冷たい飲食物の摂りすぎや、冷房による冷えすぎには注意が必要です。

過度に体を冷やすことで、かえって体調を崩してしまうこともあるため、"冷やしすぎない涼しさ"を意識して過ごしましょう。




5.軽く体を動かし、適度に汗をかき陽気を発散

日の長さや暑さを嫌がらず(冷房のきいた部屋にこもらないで・・・・)、軽く体を動かして、適度に汗をかき、体の陽気を発散するように心がけましょう。 大量に汗をかきすぎるのは×。汗と一緒に気も出ていってしまうので注意です!)


夏は陽気がすでに高まっているため、激しすぎる運動は逆に気を消耗してしまいます。朝の散歩や軽いヨガ、太極拳のように、呼吸を意識しながらゆっくり体を動かすことが◎



6.気持ちを楽しく、怒らない

夏は心(しん)に影響がでやすい季節です。夏の養生では、心をいたわることがとても大切です。

心には、①血を巡らせる働き②精神や意識を統括するという重要な役割があります。


中医学では、イライラ、怒りといった強い感情は、体内に熱をこもらせ、心を傷つけると考えられています。そのため、気持ちを明るく保ち、イライラしたり怒ったりしないよう心がけることが、夏を健やかに過ごすポイントになります🌿笑うと熱は発散されると考えられています!楽しいことをみつけ、笑顔で過ごしましょう!





7.「心(しん)」にやさしい食材を選ぶ

夏は「心」をいたわる食事を。

苦味のある食材で熱を冷まし、水分を多く含む食材などで、汗で失われる気・津液(体液)を補いましょう。




夏におすすめの食材

・体の熱をさます涼性・寒性、清熱のもの
(ゴーヤ、緑茶、きゅうり、緑豆(緑豆もやし)、菊花、薄荷など)
 
・体に潤いを与え、のどの渇きを止める生津止渇のもの
(トマト、スイカ、レモンなど)

・精神不安やイライラ、不眠に効果がある養心安神のもの
(ハスの実、百合根、なつめなど)



夏の養生まとめ

●早起きして、涼しい風とともに深呼吸

●軽く体を動かし適度に汗をかいて発散(多量に汗をかくのは×汗をかき過ぎる人は酸味のものがオススメ)

●白湯や旬の食材で体をととのえる。(冷たいもののガブ飲みや冷房などで体を冷やしすぎない)

●気持ちを楽しく、怒らない



その小さな習慣が、心地よい夏をつくっていきます🍉。


のびやかに発散。でも無理なく。

自分をいたわる静かな時間を、どうぞ大切にお過ごしください🌻

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